Chapter6:Revelation

マトリクスを奪い、ベクターシグマを起動させたショックウェーブ。何とか時間を稼ぎ、反撃のチャンスを覗おうとするプライムに、ショックウェーブはそれまでの軌跡を語って聞かせる。
かつてのサイバートロン星は、オートボットディセプティコンの戦いと、彼らが去った後も続いたエネルギー争奪戦のために、見る影もなく荒廃し、その機能を停止していた。しかし3000年前、ショックウェーブのみが目覚めた。*1そしてショックウェーブは研究の結果、このステイシス・ロックは巨大な機械生命体でもあるサイバートロンが進化するために必要な、一時的な休眠期間であることを突き止めた。*2
そこでショックウェーブは、惑星そのものがもつ力に着目し、その力を引き出す装置を開発した。その装置をもって両軍の兵士を復活させ、サイバートロンを復興したのである。しかし一部のオートボットたちは、ショックウェーブによる支配を認めようとせず、地下に潜って反抗活動を開始した。そのため、ショックウェーブは元オートボットからなる評議会を復活させ、自らはその顧問として、形式ながらも主権を委譲した。*3オートボットにもディセプティコンにも一目置かれるウルトラマグナスを片腕とし、その本当の目的を巧妙に隠しながら、ショックウェーブは長い間サイバートロンの実質的な支配者でありつづけたのである。
しかしオートボットたちは立ち上がった。オートボットの大儀、あらゆる生命体は本質的に自由であるという大儀に殉じて。しかし評議会もまた、オートボットのもうひとつの大儀、すなわち平和のためにショックウェーブと組んだのである。しかし飽くなき征服欲にとりつかれたショックウェーブは彼らを裏切った。それが現実だった。*4そしてダイオン警備隊や評議会、またパーセプター以下の技術班も、いよいよ出陣の時を迎えようとしていた。
一方、混乱に陥っているアイアコンの片隅で活動している連中もいた。首尾よく拘留バンクからコンバッティコン部隊を回収したスタースクリームは、スカイワープサンダークラッカーと合流し*5、手近なシャトルに乗り込む。しかし、それはシャトルモードにトランスフォームしていたスカイリンクスだった。スタースクリームの意思に反し、彼らを乗せたまま飛び立っていくスカイリンクス。*6
そんなスタースクリームたちを冷ややかな目で眺めるショックウェーブ……。ショックウェーブはプライムに、地球に侵攻すると告げる。そしてアーク2世号の爆発事件*7からここまで、地球での事件は全て自分が裏で糸を引いていたことも告げるのだった。マトリクスを奪い、ベクターシグマを再起動させ、サイバートロンを巨大な戦艦に仕立てて地球に侵攻するというショックウェーブに、プライムは尋ねる。「地球をどうするつもりだ?」それにショックウェーブは応える。「サイバートロンで地球を征服するのだ。プライム、おかしいとは思わなんだか? なぜお前達はああも簡単に地球のメカに擬態できた? 何かが介在しているとは思わなかったのか?」そしてプライムもメガトロンも、ずっと欺かれてきたのだと告げる。ベクターシグマの管制室、その扉に刻まれていたオートボットディセプティコン、双方の組み合わされたエンブレムの意味……それはかつてかれらがひとつの種族であったことの証だった。ディセプティコンは進出と征服を、そしてオートボットは守護と発展を……、それを目的として作られた種族であったのだ。しかし、それでは誰が彼らを作ったのか? プライマスか? それとも他の何かなのか? それを知ることこそショックウェーブの最終目的だった。そしてその鍵は地球にあったのだ。*8
だが、そのショックウェーブを銃撃が襲う。「まだ終わってはいないぞ……終わらせはしない!」そこに立っていたのは、全ての外装を脱ぎ捨てた白いオプティマス――ウルトラマグナスだった。*9
宮殿外では今尚激しい戦いが続いていた。ブリッツウィング率いる部隊と交戦するホットロッド。その窮地を救ったのは、意識を取り戻してすぐに駆けつけてきたグリムロックだった。あっという間にブリッツウィングを破壊*10したグリムロックも、オメガセンチネルには手を焼くかと思われたそのとき、ついに評議会とダイオン警備隊が参戦。ガーディアンがオメガセンチネルを倒し、グリムロックは宮殿への突入を命じる。*11
ベクターシグマの前でショックウェーブに立ち向かうマグナス……しかしショックウェーブの力は圧倒的だった。ショックウェーブはサイバートロンのエネルギーを得ることで自らの力を高める一方、オートボットたちに対しては供給するエネルギーを意図的に抑えていたのだ。あっという間に形勢逆転され、ベクターシグマのエネルギー供給ピット*12に追い詰められてしまう。しかしプライムの援護射撃で生じた一瞬の隙を突き、マグナスはショックウェーブのレーザーガン用エネルギー供給チューブを引きちぎる。
ピットから、誰も知らない深みへと転落していくショックウェーブ……「その歪んだスパークを永遠に焼かれるがいい。」しかし同じく落ちかけたマグナスの手を、プライムが掴む。さらに駆けつけたグリムロックが手を貸し、マグナスは救出されるのだった。「おまえ、もうおれのあいてじゃないな?」「お前の顔を見て嬉しいとはな、グリムロック。」
そして脱出を命じるプライムに、グリムロックは言うのだった。「おまえ、まためいれいしたいなら、これもっとだいじにしろ。」そう言って、グリムロックは落ちていたマトリクスをプライムに手渡す。「プライマス、感謝します」「プライマスちがう。おれにかんしゃ。」*13
宮殿の外に出て、仲間達と再開したマグナスは言う。「ショックウェーブは破滅し、サイバートロンは解放された……しかし、我々は勝ったのでしょうか?」そしてプライムは答える。ショックウェーブは妄想に取り憑かれていたわけではないだろうと。彼に知識を与え、彼の背中を押したものがいたのではないかと。「それは一体……?」「知るはプライマスのみだ……」*14
そして遠い宇宙の片隅で……、生への執念にしがみつき、機能停止を免れていたトランスフォーマーがいた。その彼をジャンキオンのレッグガーが拾う。「起こしてやろうかな、ご同輩? ……おっと、その必要なさそうね。」そしてメガトロンの瞳に、赤く、暗い光がともる……




明日は総括兼感想ですー。

*1:なぜショックウェーブだけが目覚めたのかは全く不明。

*2:ただし、サイバートロン星はトランスフォーマーではない。

*3:このとき、ショックウェーブディセプティコンのエンブレムを自ら捨てている。

*4:オートボットの大儀については、劇中ではっきりとは述べられていないので、ここでは推測して書いている。またこのシーンでは、市街での戦闘に評議会員のモノローグをかぶせる形が取られているが、ここではサイバートロン星に向かうスカイリンクスの船内でミラージュを裏切者と呼んだギアーズがミラージュを助け、またミラージュがギアーズを救うというシーンがある。ミラージュの透明化能力も初披露されている。

*5:ふたりともプライムに脅されて以降は死んだふりをしていた。……おいおい。

*6:スカイリンクスがどこへ向かったのかはここでは明記されていないが、ショックウェーブの科白から推測すると、おそらく地球に向かうように指示されていたと思われる。もっとも、この段階になってもまだスカイリンクスがショックウェーブの命令を聞いたかどうかは若干の疑問が残るが。こう見えてもオートボットですしね。

*7:オートボットディセプティコンの最初の戦争が終結した後、トランスフォーマーがサイバートロン星に帰るために人類と協力して建造したのがアーク2世号。この船には人類も乗り組み、サイバートロンの優れた技術を吸収して帰ってくるはずだったが、離陸直後に爆発四散し、乗り組んでいたトランスフォーマーも全員行方不明となった。この事件こそすべての終わりであり始まりであったといっても過言ではない。なお、アーク2世号に乗り組んでいたメンバーの中には、#1で活躍したスパイクの父、スパークプラグの姿もあった。アニメファンにはおなじみですね

*8:ある程度トランスフォーマーをご存知の方なら、ここまでの伏線がなくともクインテッサ星人を思い浮かべるかもしれない。

*9:この「白いオプティマス」は、ウルトラマグナスのキャブ部分が変形したもの。アニメでは単独変形は不可能だったそうですが(全部見てないので)、トイではこの部分はプライムと同じ金型が使われていたため、単独変形が可能だった。そのためマグナス=プライムの弟説があったりもしたけれど、これの真偽はどうなんでしょう。コミックスではウルトラマグナスの外装を剥ぎ取ったあとの姿がこの姿とされていて、その登場までのシークエンスとあわせて秀逸な設定といえます。なお、このときのマグナスはプライムの銃を拾って使用しているため、プライムと違って獣を内蔵してはいないものと推測できる。それよりなにより、何でこの姿で出てきたのかは、さっぱりわからなかったりもするんですが、抜群に格好良いので良し!

*10:グリムロックとブリッツウィング、3度目の戦い。しかしどの場合でもグリムロック圧勝。2度目はマグナスに邪魔されたんだしね……

*11:ここでのグリムロックとアイアンハイドのやりとりが面白い。「ちょっと待て、いつからお前が司令官になったんだ?」「いまからだ。もんくあるか?」「……いいや」このあとでアイアンハイドは、グリムロックの命令に戸惑うほかのオートボットに代理で命令を出したりもしている。地球ではグリムロックを裏切者扱いしていたアイアンハイド、こういうシーンが随所にあるのもこのコミックスの面白さのひとつ。

*12:というか溶鉱炉? こういう場所にこういうものがあるのはスター・ウォーズ以来の伝統。……かもしれない

*13:なんだかんだ言いながらもグリムロックがプライムを認めていることを示すシーン。

*14:「それは神のみぞ知る」と言ったのと同じこと。スパリンのプライマスはどうも元世界とは違う解釈らしいですね。